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私はイメージを形にする時、沈黙しているかの様に見える生命の形を題材に常にとりあげます。そこには力強さと脆さが常に混在し、生命力と死、活動と休息、音の狭間、命と静寂の世界、生命の信号、静止または空間のわずかな揺らぎ、鼓動を感じとれる作品を目指しています。

あえて置き換えるなら、指揮者が指揮棒を振り下ろす直前のような空気、ピアニストが椅子に腰掛け手を鍵盤の上にかざした時から場の音が変化する瞬間の様に、それは静寂と緊張感と無音の音の瞬間を切り取る様な作業に似ています。それはすでに何かが始まっている瞬間であり、その後が完璧であるかどうかが問題なのではなく、それはたとえ狭間にあってもすでに静かな喜びであり決してネガティブなものではないのです。

私は静寂の意味するものが何なのか、命の美しさとは何なのかを自分に常に問いかけながら、そしてどうしたらそこにたどり着けるのかを模索しながら、銅版の持つ素材の温かさ、繊細さと圧力による力強さと、モノクロームの美しさの助けを借りて制作しています。私の表現手法のルーツはモノクローム写真や日本の水墨画表現にありますが、私はそこに銅版画の技法とインクの調合を用いてこれを完成させる事を目標にしています。